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タスキ小説~恋のらいばる~ ブログトップ
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第26話 『過去への執着』 [タスキ小説~恋のらいばる~]

もみ合うナシモンさんと元彼、そしてそこに加わる千里ちゃん。
ナシモンさんと同時に飛び込んでは、見たものの
俺はその成り行きをただ、見ていることしか出来なかった。

未来へと向かおうとせず、過去に拘り続けるそんな若い二人に
湧き上がった感情は、紛れも無く怒りだった。
俺は、感情を出来る限り殺し、誰にとも無く語りかけた。

「過去に執着して、こだわり続け、囚われ続け、今を生きるって
事は、今生きている、この瞬間まで壊してしまっているんじゃ無いのかい、
誰だって、失敗はするし、弱さはある。後悔しながら生きていたってしょうがないと思うよ。
人として、人間として、生きていくのに反省は必要だけど、
後悔しながら生きていくなんて、虚しい人生じゃないか?
反省は、未来へ進むのに必要だけど、後悔っていうのは、
過去に自分を置いて来てしまうんだよ。反省しながらで良いんだ、
先に進まなきゃ人生はつまらんでしょ。」

そこまで言って、俺は休憩所を出て店内の仕事に戻った。
その後、元彼は友達に連れられ店から去った。
ナシモンさんと千里ちゃんも店内に戻り、表面上は、いつものつぼ九へと戻ったのだった。

第25話 「 依存する女 」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

「同情した俺がバカだったよ! そこに愛はあるのか?」

同じ一人の男として、千里に暴力を振るった元カレを、
俺は許す事が出来なかった。

いかなる場合でも、店の従業員がお客様に手を挙げるなど、
あってはならない事だろう。
だが、その光景を黙って見ていられる訳もなく、
俺は元カレに対し、思い切り殴りかかった。

もみくしゃになりながらも、男の意地と意地とがぶつかり合う。

しかし、そこに割って入ってきたのは千里であった。

「もう止めて! 元はといえば全部私が悪いの!」

暴力を振るわれてもなお、元カレをかばおうとする千里。

「なぜそこまで自分を追込むんだ! いい加減目を覚ませよ!」

2人の恋はとっくに終わりを告げているにも関わらず、
ダメな男に依存する千里に対しても、俺は我慢出来なかった。
なぜなら同じような過去を、俺自身も経験していたのである。

ここで引き下がったら、また振り出しに戻ってしまう。

すると、その状況を見守っていたダイスケが、ついに動き出した。

第24話  『誤算』 [タスキ小説~恋のらいばる~]

店の仕事もあるし・・・と、厨房を心配顔で見ていると
つぼ九アルバイト店員みんなのお母さん的存在、徳さんが
「ここは任せて行ってきな!」と、
俺の背中をバチーんと平手で叩いた。
こんなおばちゃんのどこに潜んでいたのかわからない
パワフル過ぎる平手打ちに後押しされて、俺は休憩室に向かった。

休憩室の前には、ナシモンさんと京子ちゃんが深刻な表情で
立っていた。無言の状態が少し続いた後・・・。
京子ちゃんが千里の過去を話し始めた。
京子ちゃんの話によると千里と元彼、二人が知り合ったのは、
バイト先で京子ちゃんも一緒に働いていとの事、
京子ちゃんは余り評判の良くなかった元彼と、
付き合うという千里を必死で止めたらしい。
結局、二人は付き合ったが
京子ちゃんの悪い予想通りに、二人は半年ほど付き合って別れたとの事だった。

最大の原因は酒癖の悪さであって、酔うと暴力的になるというのだ。
そこまで聞いたところで、俺とナシモンさんは、顔を見合わせた・・マズい!
そう思った瞬間、休憩室からガシャーンと物凄い音が!
俺とナシモンさんは、休憩室に飛び込んだ!


第23話 「 豹変する彼 」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

千里に会わせろと怒鳴り声を上げる元カレに対し、
一時は衝突寸前の俺ではあったが、
ダイスケが持ってきてくれた特製びっくりセブンに救われた訳で。

通常の2倍以上の激辛ハバネロにノックアウトした元カレは、
さっきまでの勢いが嘘のように豹変。

「頼む、あいつに会わせてくれ~。もう来ないって約束するから~。」

仲間やお客さん達が見ているにも関わらず、泣き崩れる元カレ。
1年前に何があったか知らないが、
このままではお互いにとっても煮えきらない状態だろう。

俺は意を決して元カレの手を取り、厨房裏の休憩所へ向かう事に。

そこには、明らかに怯えた千里と京子がいた。

「いいか千里、もう逃げたって何も始まらないんだ。」

少し強引かも知れないが、その場に元カレと千里の2人を残し、
俺と京子は休憩所の外へと出た。
とは言っても中の状況が気になる気になる。

すると、ダイスケがそわそわしながら登場。

そしてついに、京子の口から千里の過去が明かされたのである。

第22話「脅威のベロ」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

休憩室の隅で、仮眠をしていた俺が、大きな音に驚いて目を
開けると、休憩室にはしゃがみ込んでいる千里ちゃんと
京子ちゃんが居た。
京子ちゃんに事情を聞きすぐに店内へと
向かったのだった。

店内では、千里ちゃんの元彼とナシモンさんが向かい合っていたので、
これはイカンと何かこの場を乗り切る策を考えた…。
ある考えを思いついた俺は、厨房へと戻り、
特製ビックリセブンを持って、ナシモンさんと元彼の間に割って入った。

「他のお客さんも居ますから、こういうのはどうでしょう?
この名物ビックリセブンで、激辛を食べた人は、
言う事を聞かなければいけないというのは?どうですか?みなさん!」
事の成り行きを見守って居たほかの客も巻き込み、引くに引けない
空気を作り出した。

しぶしぶ了解した、元彼とナシモンさん、俺が
それぞれ、ビックリセブンを食べた。その辛さにのた打ち回る
元彼、実は、全部のたこ焼きを激辛にしていたのだ。
開発の時、毎日激辛を食べていた為に、ナシモン&ダイスケコンビは、
激辛の刺激にはびくともしない脅威のベロを持っていたのだ。

第21話 「 招かれざる客 」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

当店の人気商品【びっくり!セブン】もおかげ様で大好評。

日焼けの痕も落ち着きをみせ、ねじりハチマキで厨房に立てこもる俺ナシモン。
本日もお客様に喜んでもらう為、びっくりする具材を生地の中へと投入していく。

そんな中、無言で厨房を通り過ぎていく千里。
彼女の表情を見れば、何か問題があった事は明らかである。

すると、その後を追うように京子が慌てて厨房に入ってきた。

「ナシモンさん、大変です! 千里の元カレが~。」

なっ、なんと、千里が去年別れたっていう元彼氏がご来店?
偶然なのか必然なのかは定かではないが、
奥のテーブル席で友達らしき仲間3人と盛り上がっている。

気に食わないとすぐに仕事を辞め、酒癖も悪いと聞いているだけに、
お客さんとしても慎重な対応が必要である。

しかも、千里がその場を立ち去るからには、何か訳があったに違いない。

その時、「ガシャーン」と大きな音と共に、怒鳴り声が響きだした。

俺はとっさにねじりハチマキをはずし、フロアへと向かうのであった。

第二十話「あの主題歌」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

4人が車にたどり着いた時には、あたりは少し薄暗くなっていた。

帰り道にご飯を食べて帰る予定だったが千里ちゃんの足の腫れが
少し酷くなってきた事もありまっすぐ帰ろうという事になった。
朝は、駅前集合だったが、千里ちゃんは歩くのが大変だろう
という事で、俺が車で自宅まで送ることにした。

ナシモンさんと京子ちゃんを駅前で降ろし千里ちゃんの家に
向かった。その道すがらにあった薬局により
シップと包帯を買い、千里ちゃんの手当てをした。
もちろん、千里ちゃんの足の具合は心配なのだけれど
二人っきりで帰るシュチュエーションは何だか嬉しかった。

千里ちゃんの家に着くまで、今までは話したことの無い
子供の頃の話や、学生時代の話、音楽の話、家族の話など
好きなもの、嫌いなもの色々な話をした。

楽しい時間は、本当に早く過ぎてしまうもので、あっという間に
千里ちゃんの家に着いてしまった。玄関まで千里ちゃんを送り届け
車に乗り込み走り出した。


カーラジオから、アニメスラムダンクの主題歌が流れていた。

第19話 「 大丈夫? 」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

カンカンと照りつける太陽の下、
ようやく戻ってきたダイスケと千里。

すっかり丸焦げになった俺と京子に、
買ってきたカキ氷のカップを差出すダイスケ。

「なんじゃこりゃ~! 溶けちゃってますけど~。」

買出しに行ってくれたは良いが、この穴場のビーチまでの道のりを考えれば、
そりゃあ~当然である。
4人はほぼ同時に笑い出し、再び海に向かい走り出した。
まさに、男女4人夏物語といったところだろう。

最高のロケーションの中、テンションは最高潮に達し、
気が付けばもう夕方の5時。

荷物をまとめ、岩場をよじ登って帰ろうとしたその時、
千里が足を滑らせ転倒。
急いで駆け寄ると、どうやら足首をひねってしまったらしい。
俺は無意識に彼女の手を取り、背中にしょい上げたのだ。

「ちょっと先輩! 大丈夫ですよ~。」

痛がる仕草を見せながらも強がる千里。

「大丈夫だぁ~! 恥ずかしがるなって。」

少し強引ではあったが、彼女は素直に身を任せてくれたのであった。

第18話 「ノスタルジック夏の午後」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

ビーチに、ナシモンさんと京子ちゃんの二人を残し
俺ダイスケと千里ちゃんは、カキ氷を買いに
近くのなんだか懐かしい感じのするそれこそ、「商店」という言葉が
ぴったりな店にたどり着いた。

店の中には、そうそう、こういう店には居て欲しいと思う。
おばあちゃんが座布団に座って店番をしていた。
「いらっしゃい」の響きになんだか、懐かしいノスタルジックを感じて、
狭い店の中をぐるぐると見て回った。

その間、千里ちゃんは俺の「うわー!懐かしい」とか「昔これ食べまくったんだよ」なんて
話に、時折笑い声を上げながら、ずっと着いて来てくれていた。
駄菓子コーナーで懐かしいお菓子をお土産にしようと、二人で選びアイスのケースから
カキ氷のカップを4つ抱えて、「なんだか、ちょっとしたデートみたいだなぁ」

なんて事を思っていた、ちょうどそんなタイミングで
お店のおばあちゃんが「恋人同士仲良くていいね、私も若い頃は・・」なんて話を
始めてしまったものだから、反射的に「ち・違うんですよ」と答えて
千里ちゃんの方を向くと、千里ちゃんも笑ってはいたが、
なんだか寂しそうな表情をしている様に俺には思えたのだった・・・。

第17話 「 恋愛エピソード 」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

店長が教えてくれた穴場のビーチで、夏を満喫する4人。

のはずだったが、買出しに向かったダイスケと千里が、未だに帰ってこない。
波打ち際で一人はしゃいでいる俺に対し、浜辺に寝そべって日光浴をたしなむ京子。

おっとりとした性格の彼女だが、実は【つぼ九】最初のアルバイト店員である。
職場では【キョンキョン】と呼ばれ、今回、千里を海に誘った際、
一目散に名前が挙がるほど、千里にとっても姉の様な存在なのだ。

少々疲れた俺は、京子の隣へ行き、一緒に日光浴をする事に。

すると、ナイスバディを見せつけながら京子が大胆発言!

「ナシモンさんって、千里の事どう思います?」

いきなりの問いに言葉を濁す俺。

「いや~、あの、元気があって可愛いし、イイんじゃない。」

動揺する俺を見て京子は、千里の恋愛エピソードを話し始めた。

要するに、去年別れた彼氏の事が忘れられず、恋に臆病になっているという千里。

どうにかしてあげたいという思いが、俺の心の中で、芽生えてきたのである。

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