第6話「人だかり」 [タスキ小説~恋のらいばる~]
ナシモンさんと俺ダイスケは、財布の持ち主を追って店を出た
ドスン!
店を出たところで、何かにぶつかった。良く見ると
店の出入り口には、何やら人だかりが出来ていた。
取り巻いている人達の表情は、
好奇心でワクワクしている様子だったが
人だかりの輪の中心部を見た瞬間、
一様に、怯えた様な表情を浮べるのだった。
困惑している俺を尻目に、ナシモンさんは
俺に向かって、ニカっといたずらっ子の様に笑うと
その人だかりの中へ中へと、人を掻き分けながら
突き進んでいったのだ。
取り残された俺は、満月のお月さんを
一人、眺めていた。
そして・・・数分後
人だかりの輪の外で、ポカンと突っ立っている俺に
驚きの表情を浮かべながら、興奮気味に
たった今、見てきた光景をナシモンさんは
早口で、話し始めたのだ。
ドスン!
店を出たところで、何かにぶつかった。良く見ると
店の出入り口には、何やら人だかりが出来ていた。
取り巻いている人達の表情は、
好奇心でワクワクしている様子だったが
人だかりの輪の中心部を見た瞬間、
一様に、怯えた様な表情を浮べるのだった。
困惑している俺を尻目に、ナシモンさんは
俺に向かって、ニカっといたずらっ子の様に笑うと
その人だかりの中へ中へと、人を掻き分けながら
突き進んでいったのだ。
取り残された俺は、満月のお月さんを
一人、眺めていた。
そして・・・数分後
人だかりの輪の外で、ポカンと突っ立っている俺に
驚きの表情を浮かべながら、興奮気味に
たった今、見てきた光景をナシモンさんは
早口で、話し始めたのだ。
2009-05-03 16:25
第5話 [タスキ小説~恋のらいばる~]
第5話 「忘れ物」
俺がここ 【つぼ九】でアルバイトを始めてから、はや1ヶ月。
時が経つのは早いもので、もうゴールデンウィークに突入だ。
高速道路の割引サービスや、定額給付金の効果が出たのか、
旅行客らしき顔ぶれが、あちらこちらに並んでいる。
当店自慢の元気娘 千里も、熊本の実家に帰省中との事で、
いつも以上に店内は、少し違う空気をかもし出している。
そんな中、慌てて厨房に駆け寄ってきたのは、
一つ年下のダイスケであった。
「あのぉ~、さっ、財布の忘れ物です。」
返事だけは良いが、普段会話に混ざって来ないタイプの彼が、
自分から話を振ってきたではないか。
無論、先ほどレジ打ちをしていたのは、紛れもなくこの俺だ。
メガネを曇らせながらニヤニヤしている彼に、俺は一言。
「持ち主が見つかるまでは、帰れないぜ。」
彼は満面の笑みで首を縦に振った。
先ほど店を出て行った旅行客を探すべく、
俺とダイスケの小さな旅が、始まったのである。
俺がここ 【つぼ九】でアルバイトを始めてから、はや1ヶ月。
時が経つのは早いもので、もうゴールデンウィークに突入だ。
高速道路の割引サービスや、定額給付金の効果が出たのか、
旅行客らしき顔ぶれが、あちらこちらに並んでいる。
当店自慢の元気娘 千里も、熊本の実家に帰省中との事で、
いつも以上に店内は、少し違う空気をかもし出している。
そんな中、慌てて厨房に駆け寄ってきたのは、
一つ年下のダイスケであった。
「あのぉ~、さっ、財布の忘れ物です。」
返事だけは良いが、普段会話に混ざって来ないタイプの彼が、
自分から話を振ってきたではないか。
無論、先ほどレジ打ちをしていたのは、紛れもなくこの俺だ。
メガネを曇らせながらニヤニヤしている彼に、俺は一言。
「持ち主が見つかるまでは、帰れないぜ。」
彼は満面の笑みで首を縦に振った。
先ほど店を出て行った旅行客を探すべく、
俺とダイスケの小さな旅が、始まったのである。
2009-05-02 20:51
第四話「男っぷり」 [タスキ小説~恋のらいばる~]
「休憩はいりまーす」
忙しく働いている厨房に一声かけて
厨房裏の休憩所に出ようとした
丁度、そのくらいのタイミングで
「きゃあぁぁぁぁぁ」と悲鳴が聞こえた
何だ!何だ!と、悲鳴のした休憩所に走っていくと
先週、一緒にアルバイト採用された、千里ちゃんがいた
「どうしたの?」と尋ねると俺の足元を指差したまま
動かない
その方向へと視線を移動させるとそこには
かなりのデカさの虫が
ジッとこちらを見ていたのだった。
うおーーー!
大の虫嫌いである俺は、今にも飛び上がらんばかりだった。
しかし、千里ちゃんの前でそんな格好の悪い姿を
見せるわけにはいかんと表面上は
かなりの余裕タップリ感をかもし出しつつ
気付かれないように取り出した
十数枚のティッシュを手に
その敵に立ち向かったのだった
しばしの格闘後、見事!勝利した俺に、千里ちゃんは
笑顔でお礼を言ってくれた。
俺の男っぷりを見せられたかな?
二人は急接近♪なんて思っているのは
俺だけだろうか・・・。
忙しく働いている厨房に一声かけて
厨房裏の休憩所に出ようとした
丁度、そのくらいのタイミングで
「きゃあぁぁぁぁぁ」と悲鳴が聞こえた
何だ!何だ!と、悲鳴のした休憩所に走っていくと
先週、一緒にアルバイト採用された、千里ちゃんがいた
「どうしたの?」と尋ねると俺の足元を指差したまま
動かない
その方向へと視線を移動させるとそこには
かなりのデカさの虫が
ジッとこちらを見ていたのだった。
うおーーー!
大の虫嫌いである俺は、今にも飛び上がらんばかりだった。
しかし、千里ちゃんの前でそんな格好の悪い姿を
見せるわけにはいかんと表面上は
かなりの余裕タップリ感をかもし出しつつ
気付かれないように取り出した
十数枚のティッシュを手に
その敵に立ち向かったのだった
しばしの格闘後、見事!勝利した俺に、千里ちゃんは
笑顔でお礼を言ってくれた。
俺の男っぷりを見せられたかな?
二人は急接近♪なんて思っているのは
俺だけだろうか・・・。
2009-04-24 20:48
第3話 [タスキ小説~恋のらいばる~]
第3話 「休憩時間」
「失礼しました、すぐに取り替えますので。」
新人らしく、積極的に配膳するのは良いが、テーブル席を間違えてしまう俺。
しっかり確認を取れば良いものの、
忙しさのあまり、ついつい気が焦ってしまう。
そんな俺のドタバタ劇を、何も言わずに微笑んで見ている店長は、
不気味にさえ感じる。
休憩時間、厨房裏で一人タバコを吹かしていると、
背後から足音が近づいてきた。
振り向くとそこには【つぼ九】オリジナルの黒蜜きな粉パフェが、
俺の鼻に付かんとばかりに、迫って来るではないか。
「私、またやっちゃいました。先輩と一緒ですね。」
照れ笑いを浮かべながら現れたのは、
先週アルバイト採用された、今どきの女の子、千里であった。
彼女は、近くの大学に通いながら週3で、ここに来ている元気モノだ。
彼女とは何度も顔を合わせているが、
話をするのは初めてと言っても良いだろう。
ほんの数分ではあったが、こうして彼女と話が出来たのは、
お互いの失敗があったからであろう。
「失礼しました、すぐに取り替えますので。」
新人らしく、積極的に配膳するのは良いが、テーブル席を間違えてしまう俺。
しっかり確認を取れば良いものの、
忙しさのあまり、ついつい気が焦ってしまう。
そんな俺のドタバタ劇を、何も言わずに微笑んで見ている店長は、
不気味にさえ感じる。
休憩時間、厨房裏で一人タバコを吹かしていると、
背後から足音が近づいてきた。
振り向くとそこには【つぼ九】オリジナルの黒蜜きな粉パフェが、
俺の鼻に付かんとばかりに、迫って来るではないか。
「私、またやっちゃいました。先輩と一緒ですね。」
照れ笑いを浮かべながら現れたのは、
先週アルバイト採用された、今どきの女の子、千里であった。
彼女は、近くの大学に通いながら週3で、ここに来ている元気モノだ。
彼女とは何度も顔を合わせているが、
話をするのは初めてと言っても良いだろう。
ほんの数分ではあったが、こうして彼女と話が出来たのは、
お互いの失敗があったからであろう。
2009-04-19 01:32
第2話 [タスキ小説~恋のらいばる~]
第2話「別れと出会い」
「そういうことだから」
彼女の最後の言葉は、こんななんとも抽象的な
別れの言葉だった
なぜ俺、ダイスケがこの居酒屋にアルバイトの面接を受けに
来ているのかというと
あれは、三ヶ月前、社内恋愛の末に失恋し、立ち直れないままに
その会社を辞めてしまったからだ。
しばらくの間は、落ち込みに落ち込んで
だらだらと過ごしていたわけだが、遂に貯金も底が見えてきてしまった。
こんな事ではイカンと仕事を探し始め
この居酒屋が、アルバイトを募集しているとの話を聞き
早速面接に来たのだ。
それにしてもこの店の店長の顔といったら
いかつい顔面をしていらっしゃる。
ただ、時折見せる
ギャップ甚だしい笑顔は、そのギャップ故か
好印象を抱かせろものであったりするから不思議なもんだ
その店長の話もさっきから、全くもって耳に入ってこない
なぜなら
一緒に面接を受けている女の子が気になって仕方ないのだ
こんな可愛い娘と働けるなんて・・・と
これから先の未来を期待せずには、いられないのだった。
つづく
「そういうことだから」
彼女の最後の言葉は、こんななんとも抽象的な
別れの言葉だった
なぜ俺、ダイスケがこの居酒屋にアルバイトの面接を受けに
来ているのかというと
あれは、三ヶ月前、社内恋愛の末に失恋し、立ち直れないままに
その会社を辞めてしまったからだ。
しばらくの間は、落ち込みに落ち込んで
だらだらと過ごしていたわけだが、遂に貯金も底が見えてきてしまった。
こんな事ではイカンと仕事を探し始め
この居酒屋が、アルバイトを募集しているとの話を聞き
早速面接に来たのだ。
それにしてもこの店の店長の顔といったら
いかつい顔面をしていらっしゃる。
ただ、時折見せる
ギャップ甚だしい笑顔は、そのギャップ故か
好印象を抱かせろものであったりするから不思議なもんだ
その店長の話もさっきから、全くもって耳に入ってこない
なぜなら
一緒に面接を受けている女の子が気になって仕方ないのだ
こんな可愛い娘と働けるなんて・・・と
これから先の未来を期待せずには、いられないのだった。
つづく
2009-04-07 15:32
第1話 [タスキ小説~恋のらいばる~]
●この小説は、DJナシモンとDJダイスケが、リレー形式で物語を創り上げていく、ラジオ小説である。
舞台はいわきにある居酒屋「つぼ九」
2人の男が1人の女性をめぐって繰り広げる、報復絶倒。
恋の物語。
~~~~~~~~~~
第1話 「 アルバイト 」
「ありがとうございました!」
「またお越し下さい!」
こうして俺の新しい1日が始まった。
俺の名はナシモン。
ついこないだまでは、派遣社員として製造業に没頭していた。
だがしかし、この経済不況の中、ついにクビを宣告されてしまったのだ。
求人広告をあさる日々。元気だけが取柄の俺はついに、
駅前に出来たばかりの居酒屋【つぼ九】にて、アルバイト採用の報告を受ける。
今の俺には、仕事があるだけでもありがたい。
ここ【つぼ九】は、大手外食チェーンに負けじと、
低価格とサービスにチャレンジしている、洋風ダイニング居酒屋だ。
店長の人柄も良く、スタッフ達には頼れる兄貴的存在だ。
くつろげるスペースとして、お客様にも大盛況。
まだまだスタッフを増員するとの事で、これからの出会いにも期待が膨らむ。
おっとそんな中、早くも面接に来ている2人組を発見。
テーブルの片付けに必死な俺は、、、
この後起こる事態を、予測してはいなかった。
つづく
舞台はいわきにある居酒屋「つぼ九」
2人の男が1人の女性をめぐって繰り広げる、報復絶倒。
恋の物語。
~~~~~~~~~~
第1話 「 アルバイト 」
「ありがとうございました!」
「またお越し下さい!」
こうして俺の新しい1日が始まった。
俺の名はナシモン。
ついこないだまでは、派遣社員として製造業に没頭していた。
だがしかし、この経済不況の中、ついにクビを宣告されてしまったのだ。
求人広告をあさる日々。元気だけが取柄の俺はついに、
駅前に出来たばかりの居酒屋【つぼ九】にて、アルバイト採用の報告を受ける。
今の俺には、仕事があるだけでもありがたい。
ここ【つぼ九】は、大手外食チェーンに負けじと、
低価格とサービスにチャレンジしている、洋風ダイニング居酒屋だ。
店長の人柄も良く、スタッフ達には頼れる兄貴的存在だ。
くつろげるスペースとして、お客様にも大盛況。
まだまだスタッフを増員するとの事で、これからの出会いにも期待が膨らむ。
おっとそんな中、早くも面接に来ている2人組を発見。
テーブルの片付けに必死な俺は、、、
この後起こる事態を、予測してはいなかった。
つづく
2009-04-04 20:39