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第12話 「ピンチの後に」 [タスキ小説~恋のらいばる~]

休憩所に、賄いの鳥から丼を抱えて入ると、既に千里ちゃんが
店に戻る準備を終え、立ち上がったところだった。

今日は、金曜日の夜、いつもならば賄を食べる時間すらないほど
忙しく店内を駆けずり回り、声を張り上げているところだが
ここ最近、お客さんの入りが、徐々に落ちてきてしまっている。

というのも、俺の働く居酒屋つぼ九から程近いところに
全国チェーンの居酒屋が新しく出店し、開店キャンペーンと
銘打って、生ビール百円やら、千円飲み放題やらとどんどんと
あの手この手で、新規開拓を図っている為であろう事は
口にこそ出さないが、店長以下この店で働くみんなが
気づいていることだった。

閑古鳥が鳴いているわけでもなく、かといって目の回るような
忙しさというわけでもない、一日の営業が終わり、
帰り支度をするみんなの表情は、客が減っている事もあってか、
少し元気が無いように思えた。

みんなが、ぞろぞろと店を出ようとした、
その時、先輩のナシモンさんがみんなを集めた、
この店のピンチを切り抜け提案があるらしく、
若干興奮気味にその内容を話し始めたのだった。

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